*** 創作シナリオとエッセイの小部屋 ***
人 物
相澤翔子(27)弁護士
綿貫洋平(32)弁護士
沢村ケン(19)フリーター
山本マヤ(18)沢村の恋人
○プラットホーム(朝)
多くの人の間を、縫うように歩くフレッシュスーツ姿の相澤翔子(27)、目の前の
人だかりを見て怪訝な表情で近づいていく。
その中では、スーツ姿で長身の綿貫洋平(32)と沢村ケン(19)が睨み合い、傍
らで、ミニスカートに素足の山本マヤ(18)がべそをかいている。
沢村「いい加減認めろよ、おっさん。俺はさあ、ちゃんと見てたんだよ!(綿貫の右手
を掴み)あんたのこの手が、この子のスカートの中に入るのをさ!」
綿貫、逆に沢村の手を取ると、強くひねり上げる。
綿貫「(にやりと笑い)ほう、確かに見たんだな。その言葉を忘れるなよ!」
沢村「いっててて、何しやがる!」
翔子の声「その手を離しなさい!」
綿貫が振り返ると、翔子が立っている。
翔子「(綿貫に)強制わいせつの他に、暴行罪でも訴えられたいですか?」
綿貫「何だ?お前」
翔子、胸の弁護士バッジを見せて、
翔子「ワールド法律センターの弁護士、相澤翔子と言います。まだ名刺はありません
が」
綿貫「(馬鹿にしたように)ワールド法律センター?あんたがそこの弁護士か?」
翔子「(誇らしげに)そうです。」
綿貫「だったら弁護士さん、頼みがある」
翔子「はい?」
綿貫「俺は行くから、とりあえずこいつらからよく話を聞いといてくれ!」
綿貫、そう言うと沢村を翔子に押しつける。翔子、その重みによろめきながら、
翔子「ちょっと、逃げるんですか!」
綿貫「人聞きの悪いこと言うな!逃がしちゃいけないのは、そいつらの方だ。じゃあ、
後でな!」
翔子「……後で?」