人 物
赤羽賛多(28)詐欺師・空き巣
中島空(8)小学生
中島
中島ひろみ(34)会社員・空の母親
村井徹(45)刑事
○裁判所前
建物から中島裕(36)と中島ひろみ(34)が出てくる。
二人歩きながら
ひろみ「これで、本当にお別れね」
中島「ああ。ありがとな、空に自由に会うのを認めてくれて」
ひろみ「(微笑んで)仕方ないわ。空ったら、サンタさんへの手紙に、『プレゼントはパパをお願いします』なんて書くんだもの」
中島「随分乱暴なサンタだったけどな……」
ひろみ、立ち止まり上空を見上げる。
○病院・廊下
病院内には、ツリーが置いてあったり、リースが飾られたりして、クリスマスの雰囲気が漂っている。
村井徹(45)、人目を避けるように、赤羽賛多(28)の手錠を外してやりながら、
村井「分かってるな。五分だけだぞ」
黙って頭を下げ、歩き出そうとする赤羽を引き止める村井。
村井「おい!(傍に置いてあった袋を差し出して)これを着ていけ」
不思議そうに袋の中を見た赤羽、びっくりした表情で、村井を見つめる。
村井、いたずらっぽく笑い返す。
○同・病室
中島空(8)、赤いサンタ姿の赤羽が、少し照れくさそうに入ってくるのを見ると、嬉しそうにベッドから上体を起こして
空「やっぱり、似合うね」
赤羽「(首をすくめて)あたりまえさ、サンタなんだからな」
空「プレゼント、ありがとう」
赤羽、空をじっと見る。
空「パパは、ずっと僕のパパだって。いつでも僕のこと、見守ってくれるってさ」
赤羽「良かったな」
空、強くうなずく。
赤羽「じゃあ、俺、行くわ」
空「来年、また来てくれるんでしょ?」
赤羽、何も言えずに空の頭をくしゃくしゃっとなでるとドアの方に向かう。
空「(涙声で)サンタさん!」
赤羽、立ち止まる。
空「来年のプレゼントは、サンタさんをお願いします!」
赤羽、背中を向けたまま
赤羽「そうだな。用意ができてたら届けるよ」
<完>
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